資産形成に興味を持つ人、始める人が増えていると思います。「S&P500がいいらしい」「全世界株式ファンド一択らしいよ」そんな情報が多く出ています。
そういうことなら投資信託で資産形成を始めてみようと、証券会社のサイトで投資信託をリサーチしているなかで、同じS&P500インデックスファンドなのに高いのと安いのがあるな・・・と気づくのではないでしょうか?
投資信託を表す値段は「基準価額」といいます。今回は基準価額について解説していきます。これから投資信託を選ぶ時に参考にしてください。
基準価額とは?
基準価額とは、投資信託の1口あたりの値段のことです。投資信託を購入したり、売却したりする際の基準となる価格で、簡単に言えば「投資信託の値段」です。
投資信託が新しく発売されるときの基準価額は10,000円ですから、今見ている投資信託の基準価額が20,000円になっていたら2倍になってるんだな、ということです。
投資信託は、株式や債券などの複数の資産がまとまってパッケージされているものです。そのパッケージされている資産、つまり中に入っている株式や債券などの資産が上昇すれば基準価額も上がり、下落すれば基準価額も下がります。
基準価額の計算方法は?
基準価額は投資信託の値段であるということでした。どれくらいの価値があるかを表す数字です。それではどのように計算されるのでしょうか?
簡単な例でイメージしてください。
例えば・・・
10人で10万円ずつ出し合って、まとまった資金100万円を準備します。その資金をもとに10種類の株式を購入する投資信託を作ります。
一か月後、購入した株式の運用がうまくいき110万円まで上昇
このとき、コスト(信託報酬)が1万円かかったとする
この投資信託の基準価額は、以下の式で計算できます。
基準価額=(110万円-1万円)/10口=109,000円
言葉にすると
基準価額=純資産総額-コスト/口数
となります
基準価額はいつ決まるか?
株式などは随時価格が変わります。現時点でいくら、ということです。投資信託は、一日一回算出されます。証券会社のホームページで投資信託の基準価額を確認することができますが、その基準価額は昨日に算出されたものです。
株式がパッケージされている投資信託の基準価額は、その日の値動きがどうだったか計算してから公表されるので、リアルタイムではありません。あとで決まることになります。
ということは、保有している投資信託を本日売却しようと手続きした時点で、じつは基準価額はいくらか分からないのです。現金されて分かることになります。これをブラインド方式といいます。
基準価額が上昇、下落する理由
投資信託はパッケージ商品なのですが、そこに構成されている株式や債券などの資産価値で投資信託の基準価額が決まります。
日経平均株価をベンチマークにしている投資信託の基準価額は、日経平均株価が上昇すれば上がるし、下落すれば下がります。
つまり何が言いたいかといいますと、株価の上昇・下落とは異なるということです。
株価が上がる、下がる
株価が上がるか下がるかは、その企業の業績によります。業績が良くて将来性もあるとなれば上昇する要因となります。業績が悪くて将来の見込みも怪しいと感じれば下落となるでしょう。他にも、景気拡大局面か後退時か、為替や金利の影響もあります。
また、みんなが購入したいと考えれば上昇しますし、売却したい人が多いと下落します。
基準価額と株価の違い
その企業の株式を購入したい人が増えると株価が上昇します。しかし、その投資信託を購入する人が増加しても基準価額は上昇しません。
株価の上昇、下落はイメージしやすいと思います。相場ですから、欲しい人が多いと上がるし、いらないと手放す人が多いと下がるということですね。
投資信託の購入者が増加すると、その投資信託の資産額は大きくなります。それなら基準価額が上がりそうですが、先ほどの計算式の通り割り算する口数も増加しますので、その要因だけで基準価額の上昇に直結ということでもありません。
高値づかみの心配?
基準価額が高くなっていると、株価の感覚で、高値づかみになるのでは?もう上がらないのでは?と感じます。
基準価額が高くなっているのは、運用がうまくいっているという見方になります。基準価額が高いか低いかで判断するのではなく、その投資信託の資産構成、ベンチマークから判断することになります。
同じような投資信託でも基準価額が違う?
同じS&P500をベンチマークとする投資信託でも、基準価額が異なるものがあります。同じものなのに違いがあるのはなぜでしょう。
同じベンチマークの投資信託であったとしても、基準価額が異なる場合があります。それは、その投資信託がどのタイミングで設定されたかにも影響されます。
投資信託のベンチマークとなる指数のグラフが左のようになっているとき、青いところで設定されているか、赤いところで設定されているかで異なります。
簡単に言うと「スタート地点が違うから」となります。
売却:投資信託と株式は違う
本筋とは違いますが、売却について触れておきたいと思います。購入にもつながる話です。資産形成で投資をしていると、どこかのタイミングで売却をすることがあります。
株式の取引は、売却する人と購入する人のマッチングが必要です。マッチングが成立しないと売却できないし、購入できません。株価にもよりますね。株式は相手がいて取引が成立します。
投資信託は相手がいなくても売却できます。つまり、売却というより現金化もしくは解約するという方が適切です。資金が必要なタイミングで現金を手にしたいと思えば、投資信託で資産形成する方が確実と言えます。
まとめ
投資信託の基準価額について解説をしていきました。なんとなくでもイメージは掴んでいただきましたでしょうか。
株価と上下と混同するのも分かります。違いますよと言われても、しっくりこないかもしれませんね。
あまりに高くなった基準価額の投資信託が購入しにくいというのも理解できます。そのときは投資信託の設定時期、チャートを確認して、判断するようにしましょう。
Wrote this article この記事を書いた人
福田 智司
▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております