奨学金は学生が借りて、働くようになってから本人が返還する。※日本学生支援機構は「返済」ではなく「返還」と言います。
通常はこの形です。
もしくは、親が子どもの返還をバックアップすることも普通にあります。
そんな奨学金の返還ですが、企業が返還する「奨学金返還支援制度」をご存じでしょうか?
奨学金を借りた本人が返還せずに、勤務先企業が代わりに返還するという方法です。
今回は、そんな「奨学金返還支援制度」について、解説していきます。
奨学金返還支援制度とは?
2021年4月から導入された制度で、まだまだ浸透しているとは言えないかもしれません。
概要を解説すると、日本学生支援機構の貸与奨学金(第一種奨学金・第二種奨学金)を受けていた社員に対し、企業が返還額の一部又は全部を機構に直接送金することにより奨学金の返還を支援をすることです。
奨学金を毎月5万円借りると4年で240万円、毎月8万円だと384万円となります。なかなかの金額になります。
これを、勤務先企業が本人に代わって返還してくれるとしたら、学生は大歓迎ですね。
企業側から見る奨学金返還支援制度とは
学生に代わって返還する企業側のメリットは、これはまさしく「採用」と「定着」でしょう。
通常、社員が奨学金を返還するのは、給料の手取りからになります。奨学金返還支援制度では、給料はそのままで企業が日本学生支援機構へ返還します。企業としては福利厚生の充実となります。
採用での訴求ポイントはいくつかあると思います。給与水準、退職金制度、年間休日は当然チェックポイントになりますし、今は副業OKかどうかもポイントになるかもしれませんね。そして、それを断然上回るのが奨学金返還支援制度になりそうな印象です。
奨学金を利用して大学進学するような真摯に学業に取り組む学生は、企業にとっても採用したい学生になるのではないでしょうか。
それでは、実際に奨学金返還支援制度を採用している企業はどのようなところなのでしょうか?確認してみましょう。
奨学金返還支援制度に取り組む企業
日本学生支援機構のホームページに掲載されています。ただし、掲載依頼のある企業という断りがあるのですべてではないかもしれません。
業種ごとに掲載しており、所在地からの検索はできません。
希望業種で、希望地域で対象の企業があるとラッキーですね。奨学金返還の上限や割合など条件があるようなので、その企業のホームページなどで確認してください。
これから拡がる支援制度だと思うので、この企業リストは拡大していくと思います。
自治体もあります
Uターン、Iターン、Jターンなどの条件もあります。地方だと大学が少ないので県外に進学する学生が多くなります。そういう意味では「Uターン大歓迎!」ということでしょう。
私は福井県福井市在住ですが、福井の状況は県外に進学した学生が就職で福井に戻るのは3割程度と言われています。まあ、戻ってきません。私の同級生も進学先でそのまま就職も多くいますので、いつの時代もそうなんでしょうね。
福井県と坂井市は奨学金返還の支援制度があります。
これからは、奨学金を肩代わりするから福井においで~となってくるのでしょうか。
まとめ
採用については、「ブランディング」「採用ページの充実」など多くの対策があると思います。
そんなかっこいいことより、奨学金返還支援制度を導入するような直球でアピールする方が訴求力があるような気がします。採用支援をする企業の皆さまはどのようにお考えでしょうか?その業界の現場を知らないので、私がズレている可能性もあります・・・
進学する学生の約半数が奨学金を利用する現状、それを返還する必要がある現実、結婚したら夫婦共に奨学金を返還する未来、このように考えていくと奨学金返還支援制度は魅力があると思います。
学生(社員)と企業はWIN-WINの関係になれるのではないでしょうか。
学生の皆さまも、前段のリンク先「日本学生支援機構」のサイトで確認してみてください。うまくはまれば、メリットが大きいですよ。
Wrote this article この記事を書いた人
福田 智司
▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております