「終活」というと、家族がいる人が行うものと思われがちですが、「おひとりさま」こそ、早めに準備をしておくことが大切です。
もしもの時に頼れる家族がいない場合、財産の管理や葬儀の手配、住まいの整理などを誰がどのように行うのかを考えておかないと、残された友人や関係者が困ることになります。
また、認知症や病気になったとき、自分の意思で財産や医療方針を決められなくなる可能性もあります。そのため、事前に準備を進めておくことで、安心して生活を送ることができます。
ひとりでは生きていけない世の中ですが、ひとりではやることが多すぎて他界することも難しい世の中です。
おひとりさまの心配事「医療、介護」
ひとりの場合(身寄りがない、頼れる親族がいない)は、すべて一人で手続きなどをする必要があります。何事においてもです。
高齢になってくると気がかりなのは、入院や施設への入居の可能性があることです。まだ、対応できる状況でしたら何とかなると思いますが、認知症が発症していると、難しいことが増えてきます。
どのような困りごとがあるでしょうか
① 身元保証
病院への入院、介護施設への入居の際に必要とされる「身元保証」や緊急連絡先の問題があります。誰に頼めば良いのか、考えておくことが重要です。
認知症を発症してなく判断能力があったとしても、身元保証(身元引受人)の依頼先が思い当たらないときは、つらいです。
親族が最優先になると思いますが、知人友人に依頼することになるかもしれませんし、引き受けてくれないかもしれません。
② 財産管理
もし、認知症が発症した場合は、ご自身での財産管理が難しくなってきます。そのような場合に、ご本人に代わり「財産管理」「身上監護」をする代理人をあらかじめ決めておくと安心です。
「任意後見制度」を利用します。認知症発症前に後見人を定める制度で、後見人は親族、友人、企業など、任意で決めることができます。
「私が認知症になったら、後見人にお任せします」と自分で決めることができます。認知症が発症してからですと、法定後見人(弁護士、司法書士など)が着くことになり、融通が利かない問題が発生します。
任意後見人は、家庭裁判所も関わる仕組みですから、権利が及ぶ範囲もしっかり定まっているため、安心できます。
③ 尊厳死
終末医療も考えておくと安心できます。延命治療をどう考えるかです。
本人の意思で、ご自身が末期であり、命が尽きる状況であれば、延命措置を希望しないと宣言し、記しておくことができます。延命治療を控えて、緩和ケアに重点を置いてもらうよう伝えることができます。
身元引受人、任意後見人を定めておくと、入院時に治療方針など医師との面談に同席してもらい、一緒に協議、相談することができます。
参考に、尊厳死と安楽死は別物です。混同なさらないようお願いします。安楽死は医師が有罪になります。
おひとりさまの心配事「死後のこと」
人が亡くなると、いろいろと手続きがあります。やることが多いです。元気なうちに依頼先を決めておくと安心です。
死後事務
葬儀についても希望を事前に依頼できるし、その他の手続きを依頼することができます。死後にどのようなことがあるのか、リストアップしてみます。
- 希望した人への訃報連絡
- 葬儀、火葬の手続き、手配、支払い
- 埋葬、散骨などの手続き、実行
- 病院、施設の退院・退所手続き、支払い
- 公共サービス等の解約、精算
- サブスク契約の解約、精算
- 住民税、固定資産税の納税など
- 遺品整理の手続き
- 住居内の遺品整理立ち合い
- 住居の退去までの管理や手続き、精算
このようなことが挙げられます。どなたに依頼しましょうか?事前に検討しておいた方が、安心です。依頼される人も急に言われても困るかもしれませんから、事前にお伝えできるといいですね。
遺言書の作成
遺言書を公正証書にしておくことをお勧めします。人知れず準備して、ご自身で片付けおくと誰の目にも触れないままかも」しれません。
遺言書作成のポイントは、「誰に」「何を」「どれだけ」そして「遺言執行者」を決めていくことです。
誰に・・・財産の遺贈先を決めます。親族またはお世話になった人、寄付ということもありますね。
何を、どれだけ・・・遺贈先へ渡す財産の内容を決めます。遺留分があることにも注意して検討します。
遺言執行者・・・遺言書に沿って、預金など金融機関の手続き、不動産の名義変更などを実行する人を決めます。死後事務において過不足などあれば精算します。
専門家にのサポートを受ける方がスムーズにできると思います。できれば、実績のあるところが望ましいですね。
まとめ
おひとりさまの終活は、「自分が困らないため」だけでなく、「周囲の人に迷惑をかけないため」にも重要です。財産の管理や医療・介護の方針、亡くなった後の手続きなどを考えておくことで、より安心して生活できます。
今回は一般的な内容になっています。当然、個別事情で異なるケースが多くあります。「大事なことは分かったけど、私の場合はどうなるの?」ともしかしたら心配が増しただけかもしれません。
「何をどう準備すればいいのかわからない…」という方は、一度専門家に相談することをおすすめします。早めの対策が、安心した未来をつくる第一歩になります。
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Wrote this article この記事を書いた人
福田 智司
▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております