メンタルアカウンティング(心の会計)の落とし穴と活用法をFPが解説

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 「ボーナスが入ったら、旅行に行こう!」と楽しみしている人や、「食費の節約をしているけど、休日の外食は別」と考えている人も多いでしょうか。同じ金額でも、その使い道や出どころによって感じ方や使い方が変わることがあります。これが行動経済学でいう「メンタルアカウンティング(心の会計)」と呼ばれている現象です。

 実際、私たちは日常生活で無意識にお金を「分けて」考えています。例えば、給料はしっかり管理するのに、臨時収入やボーナスは気持ち的に使いやすいように感じます。また、クレジットカードで買い物をすると、現金払いよりも痛みが少なく、少々余分に買いものすることもあります。これがメンタルアカウンティングの典型的なものです

 お金の価値は本来変わらないはずなのに、私たちの心は使い方や目的によってその価値を変えてしまうのです。では、どうすればこのメンタルアカウンティングを上手に活用できるのか、解説していきたいと思います

メンタルアカウンティングのよくある事例

メンタルアカウンティングを解説するときに、多く使われる事例があります。ちなみにあなたはどのように感じますか?

Q1:映画を見ようと思って2000円のチケットを購入しました。映画館の入り口で2000円のチケットを紛失していることに気が付きました。当日券も2000円で購入できますが、あなたはチケットを再購入しますか?

Q2:映画館の入り口でポケットに入れていた2000円を紛失していることに気が付きました。財布はあります。さて、あなたは2000円の当日券を購入しますか?

 あなたはどうしますか?

 実際にデータがありまして、Q1の場合、半数以上は「購入しない」という回答になります。Q2は9割近くの人が「購入する」と回答しています。どちらも紛失したチケットも現金も同じ金額の2000円で、映画を見ようとすればどちらにしても追加で2000円が必要な状況です。負担する金額は同じですが、判断には差が出ます。これがメンタルアカウンティング(心の会計)です。

 この2つの質問の違いはどこにあるのでしょうか?Q1の場合は、チケットを2回購入することになり、心理的には映画チケット4000円となります。これは、ちょっと購入しにくくなるのは理解できますね。Q2の場合は、紛失した2000円はチケット購入とは別問題です。なので、2000円のチケットを購入できるのです。「それはそれ。これはこれ」という感覚でしょう。

 このように、同じような支出であっても、気持ちの問題で感覚が異なるのです。

メンタルアカウンティングの落とし穴

 行動経済学で、人は合理的に判断できないとされています。例えば、ギャンブルで勝ったというような「臨時収入」のようなお金はムダ遣いしがちです。あぶく銭は「競馬で10万円儲かったから、パーッと使っちゃおう」みたいな感じです。仕事による収入の10万円とは感じ方が変わって使い方も変わるということです。これをメンタルアカウンティングの(心の会計)といいます。落とし穴になりそうな部分があります。

 具体的な事例を見てみましょう

落とし穴①ポイント還元

 クレジットカードやポイントカードを日常的に使いう人は多くいると思います。ポイントを貯めることを意識し過ぎて余計にお金を使ってしまう場合があります。「本日ポイント10倍」とか、「毎週水曜日は来店ポイント付与」とかあります。得をしようと思っていても、うっかり支出が増えるというのも、よくある話です。

落とし穴②イベント支出

 年末年始は「特別な時期」ということもあり、普段より多く支出することがあります。豪華な食事などに大きく出費してしまうようなケースです。クリスマスもそうでしょうね。

 旅行などもあります。普段は1000円の飲み物は「高いから買わない」という人も多いと思いますが、旅行先の1000円の飲み物は「せっかくだし・・・」と購入する人は多いと思います。これは買いますね。

 普段の1000円の飲み物は「飲食代」から支出しますから「高い!」となります。旅行先の1000円は「旅行代」から支出するので感覚が変わります。はい、メンタルアカウンティングです。

落とし穴③ついでの支払い

 高額な買い物をするときがあります。例えば、パソコン。家電量販店にいって20万円のパソコンを購入します。会計の時に「5000円で3年保証できますが、いかがですか?」と聞かれます。20万円と20万5000円の差から考えて「5000円か、まあいいか」という心理が働きがちです。なんせ、20万円の買い物をしていますから。

 帰宅してから、5000円で3年保証に加入しようとはなかなか思わないでしょう。

メンタルアカウンティングの活用法

 メンタルアカウンティングをうまく使うと、有効なツールとなります。お金に関する意識、感覚や行動をコントロールすることで、効率的な支出や資産形成に役に立ちます。

活用法①口座を分ける

 メンタルアカウンティングを解説するときに、映画代かどうか、旅行代かどうかという話をしました。そこを最大限活用する方法として「口座を分ける」という手があります。

 生活費、緊急予備資金、貯蓄(資産形成)の3つの口座です。生活費は日常的な支出用です。いわば使い切ってもOKという感覚です。緊急予備資金は貯蓄と隣り合わせのようなもので、日常的な支出には使用せず、「何かあったら」という意味合いの支出用です。貯蓄(資産形成)は、将来の目標に向けた資金確保用です。分けておくことでお金が混在せず、ムダ遣い防止につながります。

活用法②予算決め

 もう一つの有効な活用法として、「予算を決める」ことがあります。事前に予算を設定し、その範囲内で支出することを意識することです。外食や娯楽、趣味など自由に使うようなお金に関して効果的です。メンタルアカウンティングにより「楽しむためのお金」と割り切って考えることで、罪悪感なく支出することができます。

 細かく予算を決めることもできますが、大枠で決めることも良いと思います。

家計簿は必要ない 50-30-20ルールでお金の管理は大丈夫

FPの役割

 ファイナンシャルプランナーはメンタルアカウンティング改善をサポートできると思っています。まずは、現状の家計を把握します。支出と収入、資産状況などを把握していきます。ここで、よくわからない支出が見えてくることがあります。メンタルアカウンティングが影響している部分があるかもしれません。

 外部といいますか第三者の視点で見ることが有効に働きます。そういう意味では友人も良い意見をくれるかもしれませんが、そこは専門家であるFPを頼っていただくと事例も多く持っていますし、的確なアドバイスができるのではないかと思います。

 FPに相談すると、偏りがなく、全体的に見ることができますから、家計についてだけでなく、保険や資産形成などもお話しすることができます。

まとめ

 メンタルアカウンティングはよくある話ですし、落とし穴を完全に回避して合理的に生活するというのは難しいかもしれません。私も心当たりが多くあります。人間だもの・・・という感じです。

 メンタルアカウンティングもそうですが、行動経済学の理論や事例には心当たりしかありません。ムダ遣いしています。販売者側は行動経済学を利用したキャンペーンや販売促進をしますから、術中にハマるしかありません。

 そのためには、家計を把握して予算を決める、貯蓄、資産形成をする資金を先取り口座に入れることがポイントです。10年先、20年先と将来を見据えたライフプラン、キャッシュフロー表を相談しながら作成することで安心できますし、対策できます。ライフスタイルプラスでは、初回相談を無料でしていますので、気軽にお声掛けください。オンラインOKです。あとくされ無し(笑)

Wrote this article この記事を書いた人

福田 智司

▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております

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