ファイナンシャルプランナーが伝えたいこと 住宅ローンの「借入可能額」と「返済可能額」に違いはあるのか

ファイナンシャルプランナーが伝えたいこと 住宅ローンの「借入可能額」と「返済可能額」に違いはあるのか
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結婚や出産などで、住宅購入を検討されるご家庭も多いと思います。検討するポイントも理想だけではなく、学校区、利便性など現実的に考えるポイントがあります。私の知人で、「独身」「母親と二人暮らし」「結婚の予定はない」けど新築したという親孝行の息子さんもいますので、どのようなきっかけだったとしても住宅購入をすることはあります。

「住宅購入」はファイナンシャルプランナーに相談するタイミングのひとつです。その場合は、本当に住宅ローンを払っていけるでしょうか?という心配の相談です。住宅メーカーに行く前の相談です。⇐じつはココ大事、理由は別の機会に

住宅購入する場合は、なかなかキャッシュで購入とはいきませんので、住宅ローンを組む方が多数ではないでしょうか?ここでは、住宅ローンの「借入可能額」「返済可能額」についてお伝えしていこうと思います。

「借入可能額」と「返済可能額」はイコールではない現実

住宅購入を検討する段階で金融機関へローン相談に行きます。住宅の設計や設備をどうするか予算を決める必要があるので、住宅メーカーから銀行を紹介されることもあり、ローン相談となります。支払い能力のあるお客様にいっぱい借りてほしい住宅メーカーと金融機関の強力タッグの完成です。「借入可能額」を基本に話が進んでいくことになります。ちなみに、フラット35の場合は返済比率30%(年収400万円未満)と35%(年収400万円以上)を目安としています。これは税込み年収からみた返済比率なので、手取りで考えると家計に占める割合は相当高くなります。その返済比率内であれば借り入れできる可能性が高いので、住宅購入予算を大きくすることができます。税込み年収と手取り、慎重に考えてみましょう。

「夢のマイホーム」は借金でできている

住宅購入する場合は住宅ローンを組むケースが多いと思います。ローンを組むと金融機関は抵当権を付けます。住宅ローンの支払いが滞り、金融機関の我慢の限界が来ると、その住宅は競売にかけられ住宅ローンを清算されます。競売された金額によっては、差し引きしても住宅ローンが残ることが多くあります。すると、家は無くなる、借金は残るという事態に。抵当権が金融機関にある住宅ローン期間中は自宅であって、自分のものではないと言えます。言い換えると、住宅ローンを払い終わるまでは自分のものにならないということです。夢のマイホームは借金でできています。

「借入可能額」とは?

前段でも触れましたが、年収と返済比率から借入可能額を計算します。この年収というのは、借入する世帯主単独の収入、または世帯収入となります。年収500万円のAさんの場合、返済比率35%で年間175万円の返済(毎月約14万5800円)できる計算となり、4680万円を借入できます(フラット35・返済期間35年、金利1.6%※2021年12月)

土地の購入を含めても割と理想的なマイホームを設計できそうな金額です(福井など地方の場合)もちろん庭付き、駐車場は3台分、カーポートで雪対策、思いつくままの家が出来そうです。都市部で駅近マンションで生活しやすい立地だとちょっと苦しい予算かもしれません。

返済比率について注意点があります。これは他のローン支払いがあれば、そのローンについても加味します。マイカーローンなどです。上記のご家庭の場合で、マイカーローンで毎月3万円の支払いがあれば、合計14万5800円なので、計算上は住宅ローンが11万5800円限度になります。そうなると「借入可能額」は3720万円(条件同じ)となり、予算がグッと下がります。

借入可能額の考え方はこのようになります

年収500万円(返済比率35%)の場合 毎月の返済額 145,800円 毎月の返済額 115,800円
借入可能額(35年、1.6%) 4680万円 3720万円

「返済可能額」とは?

「返済可能額」とはどうなるでしょうか? 先ほどのAさんの場合、税込み年収500万円だと手取りで400万円前後になります。月額に換算すると約33万円です。「借入可能額」4680万円を住宅購入予算とすると、毎月の返済は14万5800円となり、手取りで考えると返済比率は約44%になります。毎月19万円で生活することになります。これは大丈夫でしょうか、心配になります。

ライフプラン相談では、理想的な家計は?という会話があります。その場合、住居費(住宅ローン・家賃)は手取りの25%とお答えします。少し譲って手取りの30%です。33万円の25%だと82,500円、30%だと99,000円が返済可能額となります。それぞれの借入額は、2650万円、3180万円となります。これでは家のサイズも変更ですし、住む場所も再検討になるかもしれません。

整理するとこのようになります

年収500万(手取り400万円)の場合 手取りの25%で返済
82,500円/月
手取りの30%で返済
99,000円/月
返済可能額での借入額 2650万円 3180万円

 

住宅ローン相談では、こちらの返済可能額から検討していただきたいと思います。福井県を含む地方では固定期間選択型が人気で、都市部では変動金利型が人気があるようです。現在は住宅ローン適用金利は1%を切る超低金利で、その分毎月の返済額も抑えられています。だからといって、家計において支払いができるギリギリでローンを組むのは反対です。少しでも金利が上がる場合、仕事や生活環境が少しでも変化がある場合に対応できるようにしておきたいと考えます。

まとめ

それぞれの視点で見てみると、「借入可能額」より「返済可能額」が小さい金額になります。「返済可能額」は安全運転です。夢のマイホームを購入することで楽しい家庭生活を送るはずが、無理のかかるローンを組むと家庭内でのもめごとが増え、楽しい家庭生活から離れていくかもしれません。支払いが大変になるとアルバイトすることになるかもしれません。

また、住宅購入時点での貯蓄額、年収アップの予定、配偶者との収入合算、親からの支援などの状況によって大きく異なります。現在の状況を踏まえ、将来の経済的な不安を無くし、そのうえで住宅ローンの検討をする方が健全だと考えます。しっかりとした金額で予算を組んでほしい住宅メーカーや金融機関へ相談に行く前にファイナンシャルプランナーに相談することをお勧めします。営業トーク抜きで、本当にそう思います。

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Wrote this article この記事を書いた人

福田 智司

▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております

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