移住相談の相談員で見えてきた現状と課題をFPが解説します

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 人口減少が進む中、地方では移住政策に取り組んでいる自治体が多くあります。人口減少自体は社会問題ですから国が取り組む課題です。それでも移住に取り組む地方で活動しているFPとしては、福井県の移住人気が高くなり流入してくる人口が増加することは嬉しく思います。とはいえ、日本の人口が増加する訳でもなく、ただの取り合いですから、根本的な課題解決とも言えません。

 それでも、地元福井県が移住政策に成功し、移住者が増えることは歓迎します。そのお手伝いのひとつとして移住相談の相談員を担当させていただく機会が何度かあります。これまでの相談を踏まえて考えてみたいと思います。

移住希望者はどのような人が多いか?

 どのような人が移住を希望するのか整理してみます。実データというより体感になります。基本的には福井県出身で現在は県外在住の人がほとんどです。福井県に全く縁の無い人(出身でもなく、福井にある大学出身でもなく)もいますが、相当なレアケースです。そのような人は、移住先の候補地がいくつかあって、そのうちの一つが福井県というパターンが多いです。福井県一択という人はほぼいません。

定年退職が見えている人

 退職を考えている人が移住希望者にいます。定年退職、早期退職のどちらもあり、ご夫婦でというケースです。ご夫婦のどちらかが福井県出身で、実家が福井市以外でも移住先に福井市を希望することが多いです。お子様がいらしても独立していることが多く、ご夫婦二人で福井に移住することになります。

結婚を機に移住する

 結婚のタイミングで福井に移住するケースが割と多く感じます。またはお子様が小さいご家族ですね。子育てに関する相談も多くあり、福井県でのこども園事情や子育て支援についてお知らせしています。サポート体制や応援資金など期限が切ってあることが多いので、気を付けながらの紹介となります。あと条件ありますね。

 やはり、ご夫婦のどちらかが福井出身であることから移住を検討されていることが多く、話をしていてもスムーズです。ローカルネタで盛り上がることもしばしば。

相談で多く質問されること

 どのような相談があるか聞くのですが、「仕事」「住まい」が中心です。どちらも、生活の根幹ですから重要です。この二つが決まると移住が決まると言えると思います。

仕事について

 仕事については、福井県は求人倍率が高く推移しており、仕事自体はあると思います。それまでのキャリアを活かした転職が叶うかどうかは、しっかりと転職活動をするしかありません。

 福井県のUターン・Iターンの相談窓口では転職についても相談ができるようになっているので福井県に移住する前にしっかりと相談してください。福井県のU・Iターンに協力している企業もあります。福井県に移住してからは、U・Iターン相談ではなく、普通にハローワークでの相談となります。

 どの自治体も移住相談窓口はあると思いますから。気軽に問い合わせしてみてください。FP相談ブースの近くで転職の相談をしている様子を見ていると、親身になって相談できていると感じます。

起業のススメ?

 起業の話になることもあります。こちらから持ち掛けることもないですが、仕事の話の流れで「起業」「独立」という話題になることもあります。これまでのキャリアを活かす最前線だと思いますし、東京など都市部とのルートを活用できるとしたら、大きなアドバンテージになると思います。このような会話になる人は大手企業勤務だったり、資金的な心配があまりない人が多いです。

 開業、創業の相談窓口や補助金などもアドバイスしております。こういうところは、福井商工会議所青年部に在籍していたこと、自身も独立経験があることなどが、良い影響になっていると思います。経営コンサルタントではありませんから深い話は出来ませんが、入り口の話は出来ていると思います。

住まいについて

 住まいについては、賃貸の場合はおおむね安くなりますから、大きな問題ではありません。それこそ退職を契機に福井へ移住することを検討している人の多くは、退職金も含めて資金が充実していて、中古住宅を一括購入することも候補に入ります。ただ、資金面で問題がなくとも、その後の空き家問題に直結しますから、注意が必要です。

 これは地方によると思いますが、福井は家賃が少々割高では?と感じます。この辺は印象ですから、そうでもないかもしれません。まさしく、私の感想です・・・それでも、都市部から考えると家賃が低いのは間違いありませんから、福井で賃貸マンションを探して「高いですね」といわれることはありません。

 結婚や子育て中、退職後に福井県へ移住してきて住まいの相談となると、賃貸か購入かをどう考えるかの相談になります。実家の敷地に建物だけ建てることもありますし、親が資金的な応援してくれることもあります。そうなると、住宅ローンと家計について話をさせていただきます。

そのほかで伝えること

 自動車が必要なことは伝えます。ひとり一台ですと。家賃が低くても自動車が必要になりますよと。勤務先と住まいの位置関係によっては変わってきますが、車社会であることは間違いありません。勤務先、住まい、駐車場、自動車の台数、この辺りはリンクするので、ひとつづつというより、全体で考えていきたいです。

 生活コストは下がる可能性が高いけど、収入も下がる可能性があることも伝えます。地方だと家賃も含め生活費は抑制されることが多いです。ただ、転職活動をしている人はわかると思いますが、収入が下がる可能性が高いです。支出も減るけど収入も減るという、キャッシュフローの規模が縮小するだけになるかもしれません。つまり、生活コストが下がって貯蓄ペースが上がるとも言い切れないということ。

 ここは注意点です。

移住相談をして課題に思うこと

 結婚のタイミングで、退職のタイミングで、福井県もしくは地方へ移住することを考えるのも良いと思います。その支援も必要だと思います。日本各地で取り合いなので、他の自治体より魅力的に見せる必要があります。取り合いというより、流入人口が多い東京から福井県へ移住してほしいといった方が健全かもしれません。

 さて、課題として言いたいことは、結婚、退職のずっと前の「就職」の時点で福井県にU・Iターンしませんか?それを、第一にしませんか?ということです。

 福井県での就職が魅力的かどうか、が問題ですね。このような課題解決はいかがでしょうか?

奨学金返還支援(代理返還)制度の活用企業を自治体がバックアップする

これを提案したい。※日本学生支援機構ホームページへ

バックアップの内容についても具体的なアイデアあります。ここでは主旨から外れますので控えます。

 大学生の3割~5割は奨学金を活用しているデータがあります。給付型奨学金も充実してきていますが、返還義務のある「貸与型」奨学金がメインです。卒業時点で数百万円の借金を抱えている学生も存在します。福井県と企業でコラボ支援はできないかと考えています。これは、ぜひ言いたい。

 じつは、あちこちで言っています。今回も移住相談員としてお手伝いしましたが、その担当者である県職員にも伝えました。福井県内でも代理返還に取り組んでいる企業がありますが、まだまだ少ないと思います。採用強化につながるし、フル活用してほしいと思います。

 福井県では、奨学金返還支援として、いくつか条件を付けて最大100万円を支援しています。医学部などは最大150万円となります。移住定住を目的としているので、福井県出身で福井にある大学に進学した人は対象外です。

まとめ

 福井県にかかわらず移住を検討している人もいるでしょうか?参考になればうれしく思います。

 福井県の対応を見ている限りですが、どこに移住するにしても歓迎ムードになっていると思います。どこもウェルカム状態でしょう。福井県も移住相談は多い方だと聞いています。実際に移住者が増加しているか未確認でしたので、あらためて確認したいと思います。

 2年前でしたか、福井県にある池田町で7か条なるものが出回りましたが、濃淡ありつつ地方移住あるあるだと受け止めていただいていいかなと思っています。

 私個人がどこかに移住するには荷物も課題も多すぎると感じていますが、今の住まいは20年経過するので引っ越しくらいはいいかなと思います。

 移住などで環境を変えることは大賛成。福井県でお待ちしております。

 

Wrote this article この記事を書いた人

福田 智司

▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております

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