iDeCoは受け取り方が大事 出口戦略を考えておこう

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iDeCoの受取り方は3パターン

老後資金を準備するために節税メリットがあるのでiDeCoがお勧めですよ!といわれています。iDeCoのメリットの情報はネット上でも散見されますので、iDeCoに興味のある方はご存じだと思います。私もiDeCoについてはこちらで解説していますので、参考にしてください。

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iDeCoを始めたら、今度は「いつから、どのように受け取る」かを決める必要があります。あなたは何歳から受け取ることができますか?2022年4月から、これまでより5年延長されて60歳~75歳で受け取り始めることになります。ただし、加入期間が10年未満の人は60歳から順に遅れていきますので、ご自身の加入期間を確認し手続きをします。

10年以上60歳
8年以上10年未満61歳
6年以上8年未満62歳
4年以上6年未満63歳
2年以上4年未満64歳
1月以上2年未満65歳

「いつから」受け取るのかを決めたら、「どのように受け取る」のかを決めます。iDeCoの受取り方は3パターンあります。「年金」「一時金」「年金と一時金の組み合わせ」です。

会社員、公務員は退職してから、自営業者は仕事を引退してからが「老後」とするなら、それは何歳からなのか、また退職してから起業することもあると思いますので、50歳過ぎたらキャリアプランを具体的に検討するタイミングかもしれません。他の記事でも書きましたが、老後とキャリアプランは密接にかかわりますので、iDeCoの受取り方も一緒に検討する必要があります。

それでは、iDeCoの受取り方の3パターンを解説していきます。まとめで私の考えもお伝えします。

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iDeCoを年金で受け取る

年金で受け取る場合は、受取期間を5年~20年で決めます。年金として分割して受け取る場合は、受け取る時期のiDeCoの資産額で変わるかもしれません。退職してからあなたの国民年金・厚生年金(以下、公的年金)の受給までの空白を埋めるように受け取る、長く設定して公的年金の上乗せとして受け取る、いろいろな考え方ができます。

年金で受け取る場合は、その期間中はiDeCoの資産を非課税で運用できますので、それがメリットの一つになります。

雑所得になり、公的年金等控除の適用

年金で受け取る場合は、公的年金等控除が適用となり、控除額を超えた分が雑所得として課税されます。公的年金等控除の控除額一覧は下図の通りです。参考にしてください。公的年金を受け取る場合と同様の計算となります。あなたの公的年金に上乗せしてiDeCoを受け取ると合計額で計算となり、退職してから公的年金を受け取るまでの空白を埋めるように受け取る場合は、iDeCoの受給額で計算します。

公的年金等の収入金額の合計額65歳未満の控除額65歳以上の控除額
130万未満600,000円1,100,000円
130万~330万未満収入額×25%+275,000円
330万~410万未満収入額×25%+275,000円
410万~770万未満収入額×15%+685,000円
770万~1000万未満収入額×5%+1,455,000円
1000万以上1,955,000円

iDeCoを年金で受け取る注意点

5年~20年で受給期間を決めることができますが、iDeCoの運営管理機関により設定できる範囲が異なります。1年刻みで設定できる運営管理機関、5年単位での設定となる運営管理機関。また、その1年の中でも毎月、年2回、4回、6回など設定できる範囲がありますから、あなたのiDeCo運営管理機関の定める支給方法をご確認ください。

そして、iDeCoを受け取る手数料もあります。これは毎回必要な手数料になりすので、受給回数が増えると手数料も増えていきます。

iDeCoを一時金で受け取る

iDeCoのメリットの一つに「退職所得控除」を利用できることがあります。これは分離課税といって、退職一時金だけ別の収入と切り分けて税金を計算することです。まとまった金額を受け取る退職金ですが、控除額が大きい退職所得控除で計算することで手取りが増えるということです。

ただし、その部分だけ見るとその通りですが、ここでも注意点があります。一緒に確認していきましょう。

退職所得控除の対象

退職所得の計算は、下の退職所得控除の表と計算式から算出します

退職所得額=(収入金額-退職所得控除額)×1/2  

退職所得控除の計算表

勤務年数退職所得控除額計算例
20年以下40万円×勤務年数
(80万以下は80万円)
勤務年数15年
40万円×15年=600万円
20年超800万円+70万円×(勤務年数-20年)勤務年数38年
800万円+70万円×(38-20年)=2060万円

計算式と表から、38年勤務で2060万円以下の退職金は非課税ということになります。控除額を超えた金額を1/2した退職所得に所得税、住民税が課税されます。その場合の税額は、税務署または税理士にご確認ください。

※iDeCoの場合は、加入年数を勤務年数として計算します

ここからも、税金が少なくてすむということがご理解いただけたと思います。この退職所得控除を利用できるiDeCoはメリットが大きいということです。ただし、すべてのケースで利用できるのか? いやいやできません!ということを次にお伝えします。

勤務先の退職金とiDeCoの一時金はバッティングする

勤務先から退職一時金が出ることもあります。この退職一時金も当然退職所得控除を利用して計算したいと思いますが、iDeCoとは共存できるのでしょうか。

答えは共存できない場合がある、です。

公務員や退職一時金が多い勤務先の場合、退職一時金を受け取ると退職所得控除を使い切ってしまうことになり、iDeCoの一時金はすべて退職所得として課税されてしまいます。合算されるので金額が超えてしまうケースがあります。

そうなると、必ず合算されて逃げ道は無いのか?と思いますよね。ポイントは受け取る順番です。

退職金の5年ルール

一時金で受け取る場合、勤務先とiDeCoをどちらに先に受け取るのかという問題があります。または同時に受け取るのか。ここで登場するのが「退職金の5年ルール」です。

 iDeCoの一時金を受け取って、4年以内に勤務先から退職一時金を受け取ると、退職所得控除は合算での計算となり、課税される可能性があります。つまり、iDeCoを一時金を受け取って5年後に勤務先の退職一時金を受け取ると、2回目の退職所得控除が利用できるということです。

【例】退職金の5年ルール                                                           60歳でiDeCo一時金800万円(加入期間20年) 

65歳で退職一時金1500万円(勤務年数40年)

iDeCo:800万円-(40万円×20年)=0⇒非課税                                              退職一時金:1500万円-(800万円+70万円×20年)=0⇒非課税

※iDeCoから5年後に退職一時金を受け取る場合は、それぞれ退職所得控除を利用できる

【例】退職金の5年ルール使えない(同年受け取り)                                                             60歳でiDeCo一時金800万円(加入期間20年) 

60歳で退職一時金1500万円(勤務年数35年)

(iDeCo800万円+退職一時金1500万円)-(800万円+70万円×15年)

=450万円  450万円×1/2=225万円⇒所得として課税される

 加入期間と勤務年数は重複できないので、退職所得控除を超えるケースがあり課税される。この例で、iDeCoの加入期間20年、勤務年数35年の合計55年で計算できるとうれしいですけど、それはNGということです。

 勤務先の退職年齢と退職一時金を受け取る時期がわかっている場合は、退職金の5年ルールを活用しiDeCoを先に受け取ると節税効果が高くなります。

iDeCoを後で一時金で受け取る場合の注意点

65歳定年で退職一時金を受け取る場合、それまでは仕事があり収入が見込めるのでiDeCoの一時金を70歳で受け取りたいと考えます。ありそうなケースですね。でも、この順番だと退職金5年ルールは使えません。iDeCoが後になる場合は14年以内(2022年4月~は19年以内)は重複分を差し引いて計算されます。65歳で退職一時金を受け取り、iDeCoの一時金も退職所得控除で計算しようとすると、84歳に受け取ることになりますが、iDeCoは60歳~75歳に受け取り始める(2022年5月~)ので、それは無理なのです。

受け取る順番はとても大事です。

iDeCoを年金と一時金を組み合わせて受け取る

60歳以降のiDeCoの資産額によって、一時金で受け取る部分と年金で受け取る部分を計算して、年金と一時金を組み合わせて受け取ることもできます。一時金は退職所得控除の適用になりますし、年金は公的年金等控除の適用になることは、前段で解説済みです。それぞれ、そのような計算のもと受け取ることになります。

まとめ

税制の優遇から考えると、退職金の5年ルールでiDeCoを一時金で先に受け取り、5年後勤務先から退職一時金を受け取ることが良いと思います。ただし、老後の生活は損得勘定だけではダメな状況もあるかもしれません。

優先されるべきは、あなたのライフプランです。必要なタイミングでiDeCoを受け取る。年金で受け取るのか一時金で受け取るのかも、ライフプランに合わせることが大切です。手取り額を最大にしようとばかり考えると、老後生活の運転資金に影響が出るかもしれません。

それでも、損得は気になります。私としては、公的年金を繰り下げ受給するをお勧めしています。5年繰り下げると年金額を約40%を上乗せすることができます。繰り下げた5年は、仕事を継続する、そして貯蓄、iDeCo、退職一時金でつなぐことを前提としています。しかも、健康で長生きという設定です。

今回のiDeCoの受け取り方をまとめると、一時金はiDeCoを先に受け取る、年金は金額と年数を計算する、この2点が大切です。

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Wrote this article この記事を書いた人

福田 智司

▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております

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