これから投資を始めようと考えて、いろいろと情報を見ていると、iDeCoとNISAを見つけると思います。同じ?似てる?違う?と理解できるようなできないような・・・と感じる人もいるかもしれません。
iDeCoを始めたけどNISAの方が良かったかな、逆にNISAよりiDeCoの方が良かったかなと考えている人もいるかもしれません。
あらためて、iDeCoとNISAについてまとめてみましたので、確認してみましょう。どちらが正解でしょうか?
iDeCoとNISAの比較
iDeCo(個人型確定拠出年金)とNISA(少額投資非課税制度)を比較します。7つの項目を取り上げて特徴をまとめました。確認しましょう。
利用目的
【iDeCo】
老後資金の準備が目的。制度上の仕組みにより限定的となる。
【NISA】
資産形成が目的。利用目的は限定なし。自由に活用できる。
税制優遇
【iDeCo】
①掛け金全額が所得控除、②運用益非課税、③受取時の退職所得控除(一時金の場合)、公的年金等控除(分割受け取りの場合) 掛け金拠出中、運用中、受取時の場面で税制優遇がある
【NISA】
運用益非課税。約20%の課税がなく、運用益はそのまま受け取ることができる。
積立額の上限
【iDeCo】
職業、立場によって異なる。第一号被保険者(自営業、フリーランス等)は月額68,000円、第二号被保険者(会社員、公務員等)は12,000円、20,000円、23,000円(企業年金などによる)、第三号被保険者(専業主婦(夫))は23,000円となる。
【NISA】
つみたて投資枠は年間120万円であるため、月額10万円が限度。また、成長投資枠の240万円を積立設定で投資をすると月額20万円、合計で月額30万円の積立投資が可能。
運用期間と現金化
【iDeCo】
65歳まで掛け金を拠出することができる。受け取りは60歳~75歳で自分で決めることができる。掛け金の拠出終了でも75歳まではiDeCo内で運用を継続することは可能。受け取り可能の60歳以降で現金化して受け取りが可能になる仕組みのため、60歳以前に現金で受け取ることはできない。
【NISA】
非課税で運用できる期間は無期限、制度期間は恒久化となり、投資期間、売却現金化は自由に選択できる。長期投資、短期投資のいずれも対応できる。
投資対象
【iDeCo】
iDeCo口座を開設した金融機関ごとに異なる。元本保証型の預金や保険、元本変動型の投資信託から選択する。投資信託のラインナップは金融機関で大きく異なるため、口座開設前に精査することが必要。
【NISA】
つみたて投資枠で投資対象となる投資信託は金融庁が選別しており、301本(投資信託、ETF※令和6年10月24日のリスト)となっている。随時追加がある。
成長投資枠は上場株式、投資信託が対象。対象の投資信託、ETFは随時追加される。
それぞれリストはあるが、そのすべてを購入できる金融機関はない。金融機関ごとで購入できる投資信託が異なるため確認することが必要。
リスクとリターン
【iDeCo】
長期積立が基本となり、ドルコスト平均法の活用による投資となる。元本は保証されない投資信託での投資になるが、比較的リスクが低い投資信託がラインナップされている。
【NISA】
投資対象が幅広く設定されているため、リスクが低いものから高いものまで選択することができる。
受け取り時の課税
【iDeCo】
受け取り時は退職所得控除、公的年金等控除が利用できるが、その状況によっては課税されることがある。ケースバイケースになるため確認が必要。勤務先の退職一時金、企業年金または厚生年金などの影響を受ける。受け取り時の控除は活用できるが、非課税になるかどうかは個別事情による。
【NISA】
NISAでの投資は運用益非課税で、その利益分を含めて売却現金化したときにも課税なし。そのまま受け取ることが可能。
iDeCoとNISAのどちらにしようか
iDeCoとNISAについて、7つの項目で比較をしました。次はどちらにしようかなというところです。向いてる、向いていないがあるのか見てみましょう。
iDeCoに向いている人
税制優遇制度を活用しながら長期投資をします。60歳まで現金化できないデメリットに見える制限を、メリットととらえしっかり老後資金を準備することができます。
掛け金の所得控除はメリットが大きいです。年末調整で所得税の還付があること、課税所得が減額されることで住民税も引き下げになります。所得税、住民税の節税に繋がります。
退職金を自分で準備するのにiDeCoは向いています。全額損金で自分年金、退職金を準備することができます。
NISAに向いている人
いつでも現金化できる仕組みですから、さまざまなライフイベントに向けた資産形成に活用できます。柔軟な資産形成をしたい人に向いています。投資対象も幅が広くなっています。
60歳、65歳など年齢や年数に縛られずに、自分で決めた投資期間で資産形成したい人はNISAが向いています。
iDeCoは月額5,000円以上の掛け金となります。投資初心者でお試しで始めたいと考えている人はNISAが向いています。投資信託は100円から購入できるので、とりあえず始めたいという人はNISAです。
iDeCoとNISAの正解は?
あなたが何を重要視するかで異なります。世の中に「iDeCo一択」「NISAしか勝たん」みたいな情報もありますが、人それぞれです。あなたの正解があり、私の正解がある、ということです。
それを踏まえて、どちらにするか決め手とするポイントを挙げていきます
投資目的と期間
老後資金を貯める目的という場合は、当然、迷いなくiDeCoになります。ただし、注意が必要なのはiDeCoの加入期間と掛け金の総額です。目標とする老後資金に届くのか届かないのかを精査する必要があります。届きそうだと分ればiDeCo一択と言えます。
老後もあるけど、他のライフイベントに必要な資金を準備するのが目的という場合は、NISAです。まさにNISA一択です。投資期間の制限もありませんから、自分の都合で取り組むことができます。
節税効果を優先する
iDeCo掛け金の所得控除の節税効果は大きくなります。1年だけでなく掛け金を拠出している期間は効果が継続します。もし、住宅ローン控除があると効果は小さくなる、無くなるケースもあります。運用益非課税の節税効果もありますが、どちらかというと掛け金の所得控除のメリットの方が大きいと考えています。利益が出ても出なくても所得控除はあります。
NISAは運用益が非課税になるだけですから、節税効果は比較的小さくなります。iDeCoよりリスクが大きくリターンが期待できる投資対象商品があるので、大きなリターンが出た場合の非課税となる効果は大きくなります。
流動性とライフイベント
投資期間の話と同じような内容になるのですが、限定されるかどうかがポイントです。老後資金に限定せずに資産形成するのであればNISAを選択してください。リタイア後の老後資金を準備することも含めてNISAを活用することができます。ライフイベントでNISAの資金を一部取り崩し、その後もNISAでの投資を継続することもできます。
5年後の住宅取得、15年後の教育資金など、いくつかの目標を決めて資産形成プランを組むのですが、その積み立て計画を何本も走らせるより、老後資金まで見据えた資産形成プランを組んだ方が効率が良くなります。
つまり正解は?
正解は老後資金はiDeCo、ライフイベントはNISAでの資産形成となります。 もし、どちらかひとつしかできない、予算的に一つだけとなると、私はNISAです。考え方はいろいろありますね。動画サイトやネット情報だとiDeCo優先というFPも存在します。
iDeCoのメリットは理解できるが、それ以上に制限されることに不安を感じるという人は老後資金もNISAになります。60歳まで現金化できないことを、どこまで不安に感じるかが決め手になると思います。これは気持ち、感覚の問題なので、個人差があると考えています。
まとめ(FPに相談できること)
いかがでしたでしょうか?どちらか迷っている人は方向性が見えたと思います。そのうえで、注意してほしいポイントがあります。
資産形成プランを長期的な視点で検討すること
資産形成に取り組むときに重要なことは、長期投資を意識することです。〇〇年後に〇〇〇万円というゴール設定をして資産形成します。手元資金を最短で倍にするには?という視点ではリスクを取り過ぎるし、リターンも取れない可能性が高いと思います。リスクとリターンを考えて投資する商品を決めることが資産形成を継続しやすいプランに繋がります。
資産と家計全体のバランスを考える
資産形成は家計と連動しているため、家計にムリがかかると資産形成を継続することが困難になります。部分最適より全体最適を目指して、FPと一緒に検討することをお勧めします。
iDeCoかNISAかという視点も重要ですが、資産形成の目的、ゴールを達成することがもっと重要です。迷うこと、悩むこともあると思いますが、不安を解消し、資産形成に取り組むためにもFPに相談してください。できれば、私に相談してください。オンライン相談対応可能です。
Wrote this article この記事を書いた人
福田 智司
▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております