iDeCoの時代が来るか?老後資金準備はiDeCo一択へ

iDeCoの時代が来るか?老後資金準備はiDeCo一択へ
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2024年12月、iDeCoが改正により、ますます使いやすく、始めやすくなりました。

ますます始めやすくなるiDeCo、12月改正についてFPが解説

 そして、今回、iDeCoを強力に後押しするプランが提案されています。iDeCoの月掛け金限度額10万円への引き上げが、岸田前首相が会長を務める自民党の資産運用立国を進める議員連盟から石破首相へ緊急提言として提出されました。

 岸田前首相といえば、「資産運用立国」を推進するとして、当時の岸田内閣から「資産所得倍増プラン」を2022年11月に公表しました。それからNISA制度が大幅に拡充され、2024年から新NISAとしてスタートしました。

 新NISAになり個人投資家の参入が増加し、多くの人が資産形成に取り組むようになりました。「NISAで損した!」「NISAやめとけ」のようなネガティブな情報もありますが、それはNISAが悪いのではなく、投資した金融商品が悪かったという自己責任だと考えます。

 それはいいとして、岸田前首相がNISAの次はiDeCoだということで提言された内容を確認していきたいと思います。

iDeCo、何が変わるか

  この提言では、iDeCo掛け金の上限の引き上げを求めています。自営業、フリーランスといった基礎年金を受給する第一号被保険者の拠出限度額を6万8千円→20万円へ、また企業型DCを併用している会社員などは合計額5万5千円→合計10万円へ引き上げとなっています。そしてこの改革を「年内に決定し、速やかに導入すること」を求める提言となっています。

 この限度額10万円への引き上げは、2024年7月に、「日本証言業協会」「投資信託協会」「全国証券取引所協会」の連名で提言されていたものです。業界からの提言、要望もあり、国としても資産運用を推進したいことで、今回の提言がされたのでしょう。

 業界からの提言は他にも、「50歳以降は追加枠を設定し月15万円まで投資可能に」「デフォルト設定を投資性商品に」「企業型DCの運営管理機関による加入者への個別商品のアドバイスを可能に」も含まれています。

iDeCoで毎月10万円?

 iDeCoの掛け金は立場によって拠出限度額が異なります。立場によって違いますが、月額で1万2千円~6万8千円(※2024年12月より2万円~6万8千円)となっています。

 勤務先によって企業型DC、企業型DBなどの制度が導入されていると、合計で5万5千円限度となります。たとえば会社員で毎月の拠出限度額は2万3千円であったとしても、企業型DCで4万円の掛け金を拠出していると上限の5万5千円の影響でiDeCoは1万5千円限度となります。

 提言されている拠出額合計10万円の、iDeCoと企業型DCの掛け金の振り分けが現状では不明です。iDeCoだけで月額10万円の拠出が可能なのか、iDeCo単体の限度額を設定するのか、どうなるか楽しみに待ちましょう。

 私個人的には、企業型DC、企業型DB、iDeCoをどう振り分けてもOK、つまりiDeCo単体での拠出限度額10万円を希望しますし、それが当然と思います。

10万円する?

 NISAが2024年から新しくなり、つみたて投資枠で限度額の毎月10万円を積み立てている人が増加しているようです。私が担当しているお客様でもいらっしゃいます。

 そして、iDeCoでも毎月10万円が拠出可能になる可能性が出てきました。つみたて投資枠と合計で毎月20万円の積立投資ができるようになります。さすがに、ここまでいくと家計への影響がありますし、それが可能なご家庭は少ないのではないかと思います。

 NISAかiDeCoか、という話題は多く上がりますが、そこを考えてみましょう。どう取り組むのが良いのか?です。

①目的を考える

 NISAかiDeCoかではなく、入り口は「投資目的は何か?」です。10年後のリフォーム資金を準備したい、15年後の大学進学資金を準備したいということであれば、NISAでしょう。老後資金を目的だとiDeCoとするのが健全です。ただし、子どもの大学進学が60歳の時になりそうというケースはiDeCoの活用もアリですね。

 まずは、何のために投資をするのか、資産形成に取り組むのかを考える必要があります。

②投資額をどうするか

 目的が決まれば、何年後にいくら準備するのか目標が決まります。そこが決まると次は毎月の投資額をどうするかを検討します。

 毎月投資に回せる予算、目標達成に必要な投資額、さらに運用利率の目安を考えて決めていくことになります。現状の家計から考えると毎月2万円を投資に回そうと考える、目標から考えると毎月3万円を投資に回す必要があると考える、どちらも正解ですが、どちらが目標達成に近いかを検討して決めていきましょう。

 そういう相談が得意です(笑)

③投資商品、金融機関を決める

 目的を決めて、毎月の投資予算を確保出来たら、いよいよ始めます。金融機関選びは入り口であり、重要なポイントになります。近所だからという理由は「ナシ」ですね。

 いろいろと情報を集めて決める、投資相談をできる人にアドバイスをもらうなどで、決めてください。どの金融機関が良いのか、おススメの投資商品については、ここでは明言を避けておきます。大人の事情で(笑)

FP福田が期待すること

 この提言が実現、実行されることで一番期待するのは、企業型DCの拠出限度額10万円への引き上げです。iDeCoではなく「企業型DC」です。

 どの企業も企業型DCを導入するといいのになと思いながら、日々仕事をしています。企業にとっても、従業員さんにとってもメリットがある制度だと考えています。

 企業視点では福利厚生制度の充実、退職金制度の整備の意味合い、メリットがあります。従業員にとっては、会社が経費負担してiDeCoをする、運用することで退職金が思いの外増額する可能性があるというメリットがあります。

 企業経営者の皆さま、ぜひ導入をご検討ください。従業員の皆さま、会社に提案してください。サポートいたします。

まとめ

 iDeCoの周辺がにわかに活発になっています。2024年12月には改正されます。良い方に。そして、提言通りに実行されると大幅な拡充となります。

 資産形成の有効な手段が増えることが歓迎します。選択肢が増えることは良いですね。資産形成における税制優遇制度は出来るだけ活用したいと思いますから、いつでも開始できるよう家計の準備をすることをお勧めします。

ライフイベントの資金準備はNISAで、老後資金はiDeCoで、というように、iDeCoの拠出限度額が10万円に引き上げされると、しっかり住み分けできそうです。これまでの毎月2万円、2万3千円だと届かなかった老後資金2000万円にも手が届きそうですから。

Wrote this article この記事を書いた人

福田 智司

▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております

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