住宅ローン金利が1%上昇したら?計算してみた

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 2023年より、住宅ローン金利が上昇するかも?という空気感が漂っています。漂っているだけでなく、固定金利は上昇傾向にあります。全期間固定金利のフラット35は9割超融資で約2%となっています。

 2024年3月は、金融機関でも判断が分かれていて、金利の据え置き、引き下げ、引き上げが混在しています。

 このような状況ですが、これから先を考えると住宅ローン金利が上昇することは既定路線だと考えます。いつから、どの程度か、という心配、不安はありますが、金利が上昇することを念頭に住宅ローンを検討した方が良いです。

 今回は、実際に金利が変わると返済額はどのようになるのか、具体的に計算してみたいと思います。

住宅ローン金利タイプ

 住宅ローンは、いくつかのタイプがあります。確認してみましょう。

変動金利

市場金利によって金利や返済額が見直されるタイプです。金利の見直しは年2回で、5年で返済額の見直しとなります。金利が上昇すると5年後に返済額が上がりますが、125%ルール(返済額が毎月10万円だと12万5千円までの上昇)があり、それ以上に返済額が上がることはありません。といっても、返済が免除されることはなく、急激な変化に対応するためのルールです。終盤にツケが回るようになります。比較して低い金利で借り入れすることができます。

全期間固定金利型

フラット35と言われるローンで、借り入れ時点の金利が返済期間終了まで適用されます。どんなに金利が上昇する局面でも返済額は変わることはありません。ただし、金利は高めの傾向です。

固定金利期間選択型

一定期間を固定金利とするタイプです。2年、3年、5年、10年など金融機関によって選択できる年数があります。その期間が終了すると変動金利となりますが、再度固定金利期間を設定することもできます。

 詳細な説明はここではしませんが、このような金利タイプがあります。低金利が続いていた状況では、変動金利を選択する人が70%超というデータもあります。

金利の違いで返済額はどう変わるか

 金利が変わると、どの程度返済額が変わるのか、具体的に計算してみましょう。変動金利で5年後は?10年後に金利上昇の場合は?など、個別パターンはなかなかやり切れませんので、イメージを掴む感じで見ていただけると良いかなとおもいます。

シミュレーション設定

  • 借入金:3500万円
  • 返済期間:35年
  • 元利均等方式
  • 金利:0.5% 1% 1.5% 2%
0.5%1%1.5%2%
毎月返済額90,854円98,799円107,164円115,941円
利息合計3,158,862円6,495,820円10,008,901円13,695,500円
総支払額38,158,862円41,495,820円45,008,901円48,695,500円
利息割合8.278%15.654%22.237%28.142%

1%の違いはどれほどか

 金利が0.5%から1.5%に1%上昇したら、どの程度の差ができるのか、確認しましょう。毎月の返済額は、0.5%で90,854円、1.5%で107,164円となります。差額は16,310円となります。上昇率は18%となります。支払う利息も6,850,039円も違いが生じ、差額を見ると生活が変わるような印象です。

 金利1%と2%の差を見ても、毎月の返済額の差は17,142円となり、支払利息の差額も7,199,680円となり、大きい差となります。

 毎月の支払いで16,000円、17,000円の差があると、家計にも影響がありそうですね。もしかしたら、ご主人のお小遣いに影響が出るかもしれません。もしかしたらではなく、最初に影響が出るかもしれません。むしろ、ご主人のお小遣いさえ縮小すれば他に影響が出ないまで言えます。

 金利が1%違うと、毎月の返済額は約2割上がります。変動金利の5年後、固定金利期間終了後に2割アップする可能性があります。ご主人のお小遣いのことは冗談として、家計を見直す必要に迫られるかもしれません。

金利上昇をどのように考えるか

 固定金利は上昇しています。短期プライムレートが上がれば変動金利も上昇します。住宅ローンの相談を受けていると、固定か、変動かという話題は多く出ます。その中でよくあるパターンとして、「金利が上がってきたら、固定に変更します」という考え。今の状況でお分かりのように、固定金利が先に上昇します。変動金利が上がったときには、固定金利は思っているより上にあるかもしれません。

住宅ローンの金利タイプをどう選ぶか

 銀行で住宅ローン相談をすると、最優遇金利の0.5%、0.3%の隣にフラット35の固定金利1.5%や1・98%などが並んでたら、先ほどの金利計算表で確認した通り、それこそ返済額が2割違いますから、なかなか高い金利は選択できません。お気持ち分かります!

 そのうえでお伝えするとしたら、低い金利でいけるところまでいく、もしくは、今のうちに固定金利にするかを決める必要があるということです。

低い金利でいけるところまで

 これもアリですね。ただ、状況をこまめにチェックしてほしいと思います。そして、声を大きくして言いたいのは、低い金利の毎月のローン支払い額を、家計においてカツカツにしないこと、目いっぱいにしないことです。「これならギリギリ支払える」は、もはや家計破綻の入り口に立っています。

 1%の金利差、あえて言うと「たった1%」の金利差が、毎月の支払額で約2割増えることになります。毎月の積み立て貯蓄のペースが落ちる程度ならギリOKとしても良いかもしれませんが、危ういことは確かです。家計において、少々の余白といいますか、幅を持っておくことが大切です。

固定金利にしようかな

 いつからかは知らないけど、近いうち金利は上がると考えたら、固定金利を選択して先に安心感を手にすることも正解ですね。もし、割と早く変動金利が上昇したら、固定にしておいて良かった~となります。この先、住宅ローンをどうしようという悩みから解放されます。

 金利は高めになるので、毎月の返済額は比較的大きくなります。その額が許容範囲で、納得もできるという場合は、全期間固定金利にしても問題ありません。

まとめ

 金利1%の差は、思ったより大きかったでしょうか?今回は金利差について解説をしました。手数料や保証料は含めずに解説していきましたが、そこはご容赦ください。

 住宅ローンは基準金利があって、銀行ごとに優遇金利を設定しています。数年後に優遇が終了するかもしれませんし、優遇幅が縮小するかもしれません。金利が上昇しなくとも借入金利が上がる可能性もあります。その辺りも注目していきましょう。

 最後にFPとして付け加えるのは、家計、ライフプランがあっての住宅ローン返済だと思います。家族の幸せのための住宅ですから、住宅ローンで生活が辛いものになるのは避けたいですね。

Wrote this article この記事を書いた人

福田 智司

▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております

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