住宅を購入すること
住宅を購入する場合に、住宅ローンを利用する人が多いと思います。住宅ローンは、金融機関で申し込み手続きをしますが、事前審査(仮審査)があって、その後本審査という2段階で進みます。この資産の流れを知っておくことで、その場面が来たときに慌てずスムーズにできます。
住宅購入で住宅ローンを組むと、家計がガラリと変わる可能性もありますし、人生において何度も体験することでもありません。そろそろ住宅購入を考えようとしている人に、住宅ローンの流れ、物件購入の流れを解説していきたいと思います。
最後に重要ポイントをお伝えしますので、お楽しみに。
住宅ローンと物件購入の流れ
住宅ローンを申し込むのは金融機関ですが、比較検討することをお勧めします。住宅ローンを申し込むのは、購入する物件が確定したタイミングになります。そして、比較検討で絞り込んだ2~3つの金融機関の中から、最終的に決定し申し込みます。
住宅ローンと物件購入の流れ
- 事前審査申し込み 不動産の申し込み
- 事前審査の通過
- 不動産の契約締結
- 本審査申し込み
- 本審査の通過
- 契約手続き
- 建築工事の着工(※つなぎ融資)
- 融資実行・登記(同時にします)
- 引き渡し
住宅ローンの手続きは、上記のように進みます。確認していきましょう。
事前審査申し込み
仮審査ともいわれ、購入する物件が決まった段階で申し込みをします。
購入予定の物件の金額、収入額、その他ローンの状況などを記入し、申し込みます。
住宅ローンの条件は金融機関によって異なります。こちらはOKで、あちらはNGと審査結果が異なることもあります。事前審査は複数の金融機関に申込をしましょう。
事前審査は1週間程度で結果が出ます。
事前審査が通ったら、不動産の契約を締結します。契約の際は、担当者から重要事項説明がありますので、質問をして疑問点を解消しましょう。
本審査申し込み
不動産の契約手続きが完了したら、住宅ローンの本審査の申し込みです。本審査も複数の金融機関でできますし、事前審査に複数の金融機関で通っていたら、その中から選択するのもいいと思います。
本審査は2週間程度で結果が出ます。事前審査からですと約1カ月程度の期間で完了します。
契約手続き
本審査が通ったら、住宅ローンの契約手続きを金融機関と交わします。「金銭消費貸借契約」です。契約には印紙税を納める必要がありますので、収入印紙を準備します。
注文住宅の場合は、建築着工時、工事期間中、完了引き渡し時に分けて建築会社に支払います。最後の登記をするタイミングで融資実行なので、それまでは「つなぎ融資」が必要です。併せて申し込みをします。
必要な書類
事前審査、本審査にはいろりろな書類が必要になります。
【本人確認書類】 運転免許証・パスポートなど、ほかに住民票
【収入証明書類】 源泉徴収票・確定申告
【購入する物件】 パンフレット・売買契約書・建築確認済証・登記事項証明書・土地の公図・重要事項説明書
必要なタイミングで提出できるよう準備しておきましょう。
注意してほしいポイント
団体信用生命保険の加入
住宅ローンを利用する場合、団体信用生命保険に加入することが必須の金融機関が多くあります。健康状態により、結果が異なりますので注意が必要です。フラット35は任意加入になっています。
金融機関を選択するポイントにもなります。
自己資金をどれくらい準備するのか
自己資金無しで住宅ローンを利用することもできますが、全額住宅ローンの場合は借入金額が大きくなるので注意が必要です。
借入金額を抑えたいからといって、貯蓄をすべて自己資金として支出するのは、その後の生活が心配になります。「自己資金」「借入金額」「預金残高」を検討し、決めたいところです。
ちなみにですが、国土交通省「令和2年度住宅市場動向調査報告書」によると、初めて購入する方の自己資金比率は、建売住宅20.6% 注文住宅22%と、物件価格の約2割を自己資金としていることが分かります。
必ず2割の自己資金が必要かというと、そうではありません。ご参考まで。
諸費用は意外と高い
住宅ローンを利用する際に、手続き上必要な資金があります。
金融機関に支払う手数料、保証会社に支払う保証料、登録免許税など費用が必要になります。数十万円から100万円を超える場合もあります。住宅ローンに諸費用分を含めることもできる金融機関もありますが、当然借入金額が大きくなります。
事前に、住宅ローンのシミュレーションなどで確認しておきましょう。
ファイナンシャルプランナーの出番は?
住宅購入について大まかではありますが、解説をしてきました。
この流れの中に、ファイナンシャルプランナーの出番があるのか?ということですが、じつは「あります」!!
出番としては、事前審査の前、購入する物件を決める前です
購入する住宅を考えていくと夢が膨らむし、3000万円の話をしていたら100万円が小さく感じてしまう金銭感覚になるからです。(別のブログで書いた行動経済学で説明できます)
大切なのは「借りられる金額」ではなく「返せる金額」です。金融機関や工務店と話を進めていくと、年収から計算して借り入れできる最大の金額で話が進むことがあります。ここは注意しないといけません。
ファイナンシャルプランナーは、住宅を購入し、住宅ローンが始まってからの生活について相談します。金融機関や工務店は、住宅ローンが実行されて、引き渡しが終われば、仕事は完了です。お客様が住宅ローンの支払いで苦しくなっても関係ありません。
住宅購入を考え始めたら、ファイナンシャルプランナーに相談してほしいと思います。
最後に重要ポイントを伝えて、まとめ
住宅購入の流れについて、解説していきました。
重要ポイントは、住宅購入が目的ではなく、住宅を購入して幸せな家庭を築くこと、です。
住宅ローンを組むと金融機関は抵当権を設定します。住宅ローンを払い終わるまでは、完全に自分のものにならないということです。
住宅を購入することで幸せな家庭を築くために無理なローンを組まないこと、しっかり払いきることが大切なんです。
収入と支出のバランスがギリギリでローンを組むと、ちょっとしたことで大変なことになります。2年、3年の固定期間で低い金利の借り入れをして、少し金利が上がったときに家計が耐えきれるのかを知っておいてほしいと思います。
幸せのための住宅購入で、生活が苦しくなっては本末転倒です。
そして、ライフイベントは続いていきます。出産、子どもの進学、自動車購入、旅行、留学などありますし、そのために貯蓄や投資も同時に進める必要があります。
将来のライフプランを実現していくためにも、無理なく住宅ローン返済ができるようにしていきたいのです。
Wrote this article この記事を書いた人
福田 智司
▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております