祖父母から孫への贈与、ちょっと待って!贈与税のかからない方法あります

祖父母から孫への贈与、ちょっと待って!贈与税のかからない方法あります
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 祖父母からお孫さんへの贈与を検討しているご家庭はありますか? 県外の大学へ進学するお孫さんへ応援をするために、学費などを考えて500万円を贈与しようとしている人は、ちょっと待ってください。そのまま渡すと贈与税がかかります。

 やり方によって贈与税がかからずに、お孫さんへ教育資金などを贈与することができます。それでは、解説していきます。

贈与税の仕組みとは?

 まずは、贈与税の仕組みを確認しましょう。贈与税には「一般贈与財産用」と「特例贈与財産用」の2種類あります。祖父母(直系尊属)から18歳以上のお孫さんへの贈与は、「特例贈与財産用」の特例税率を使用します。

 贈与税は、1年間(1月1日~12月31日)で贈与された財産の合計から計算しますが、基礎控除の110万円を差し引いて贈与税を計算します。110万円までの贈与は非課税です。110万円を超えると贈与税がかかります。

一般贈与財産用の税率は?

 まずは、一般贈与財産用を確認しましょう。こちらは、兄弟間の贈与、親子間での贈与など、特例贈与財産用に該当しない贈与の計算に使用します。

基礎控除後の課税価格200万円
以下
300万円
以下
400万円
以下
600万円
以下
1000万円
以下
1500万円
以下
3000万円
以下
3000万円超
税率10%15%20%30%40%45%50%55%
控除額10万円25万円65万円125万円175万円250万円400万円

 【例】500万円の贈与があった場合
 基礎控除後の課税価格 500万円-110万円=390万円
 贈与税額の計算    390万円×20%-25万円=53万円 ※贈与税

特例贈与財産用の税率は?

 特例贈与財産用の税率を使用する条件は、贈与により財産を取得した者(贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の者に限ります。)が、直系尊属(父母や祖父母など)から贈与により取得した財産に係る贈与税の計算に使用します。

 高校3年生のお孫さんに祖父母から大学への進学費用として贈与するときは、こちらの計算となります。注意が必要なのは、1月1日時点で18歳であることです。早生まれのお孫さんだと「一般贈与財産用」の計算となります。

基礎控除後の課税価格200万円
以下
400万円
以下
600万円
以下
1000万円
以下
1500万円
以下
3000万円
以下
4500万円
以下
4500万円超
税率10%15%20%30%40%45%50%55%
控除額10万円30万円90万円190万円265万円415万円640万円

【例】500万円の贈与があった場合
 基礎控除後の課税価格 500万円-110万円=390万円
 贈与税額の計算    390万円×15%-10万円=48万5千円 ※贈与税

※贈与税は受け取った側が支払うので、この場合はお孫さんが支払います。

贈与税がかからない方法

 まとまった資金を渡すと贈与税がかかることが分かりました。1月1日~12月31日の1年間での計算になるので、500万円を同じ年に100万円ずつ5回に分割して渡したとしても、贈与税はかかります。

 では、贈与税がかからない方法はどのようなことでしょうか。

都度払いをする

 そもそも、祖父母がお孫さんの教育費を負担することは贈与にあたりません。ですから、お孫さんの大学生活を応援するなら、入学金、前期の学費など、必要なタイミングで必要な金額を渡す、または直接支払うことで、贈与税の対象にはなりません。生活費も贈与税はかかりません。家賃は払ってあげるよとか、相当額の資金援助であれば贈与税はかかりません。

学費や生活費など、「通常認められる範囲」の金額であれば、親や祖父母などの扶養義務者から、子や孫へがもらうことは贈与税の対象ではありません。

 これを、「4年分まとめて500万円を渡すね」としてしまうと贈与税の対象になります。これまでのところ、大学生活を中心に解説をしてきましたが、小中高校でも、もちろん対象です。有名私立中学校、高校など、お孫さんの学校生活を応援してください。贈与税はかかりません。

これは微妙です

 都度払いになりそうですが、贈与税の対象となる可能性のものもあります。

 例えば、自動車。祖父母からお孫さんへ、大学合格のお祝いに車を購入することは、贈与税の対象となる可能性があります。車の名義をお孫さんにすると贈与税の対象となる可能性が高いです。

 例えば、腕時計。合格祝いに400万円のロレックスデイトナをプレゼントしようかな・・・これも贈与税の対象となる可能性があります。

贈与税は基礎控除110万円を差し引いて、上記の一覧表を参考にしてください。

教育資金の一括贈与

 教育費に関して、まとまった資金を一括で渡しても贈与税の対象にならないような仕組みもあります。それは「教育資金の一括贈与」です。

 これは、1500万円を上限として、まとまった資金を渡すことができます。お孫さんが生まれて、祖父母からお孫さんの教育費として1500万円を一括で渡しても、贈与税の対象になりません。500万円を3回というように分割で渡してもOKです。

教育資金の一括贈与とは?

 祖父母からお孫さんへ教育資金を一括贈与する場合は、金融機関で専用口座を開設し、その口座へ入金して管理していきます。その資金から、授業料や塾代などの支払いするよう活用していきます。スイミングスクールなどの月謝もOKです。大学だけに限らず、幼児教育から小中高、大学、大学院などが対象です。ほかには、定期券、留学費用などもOKです。ただ、生活費はNGです。

 注意点としては、30歳時点で使い切らずに残額がある場合は、贈与税の対象となることです。しっかり使い切るか、あまらないような金額で贈与するかです。

こちらをご参照ください。国税庁:※祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし

 制度の期限は2023年3月末まででしたが、3年間延長されて2026年3月末まで活用できます。

まとめ:どの方法が良いのか

 贈与税を節税する方法をお伝えしました。都度払いだと、そもそも贈与税の対象ではありませんから、こちらは問題ないでしょう。

 教育資金の一括贈与を考えるケースとして、お孫さんが大学を卒業するまでに、祖父母がご存命であるかどうか心配があることです。必要なタイミングで、その都度払うのでも良いのだけれど、祖父母が成長を見守っていけるかどうか不安がある場合は、教育資金の一括贈与の方が良いでしょう。

 どの方法が良いのか、どう考えて、どう決めればよいのか不安な人は、ご相談ください。オンラインでも相談できます。

Wrote this article この記事を書いた人

福田 智司

▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております

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