政府は、大学授業料無償化の方針を固めました。子どもが3人以上いる多子世帯が対象となります。大学、短大、専門学校、高専(4,5年生)、さらに学部を問わずということになるようです。これは、国公立大学だけでなく、私立大学も含みますので、インパクトは大きいと感じます。所得制限は設けないようですが、大学授業料無償化の限度額は設定される可能性があります。
※ニュースに出てから内容が変更される情報もあり、大学授業料無償化の条件等は未確定となっております(令和5年10月の情報を基に掲載しております)
令和6年4月にあらためて書いてみましたのでご参照ください
この大学授業料無償化が、ライフプランにどう影響するのかFP的に考えてみたいと思います。
現在の支援制度を確認しましょう
現在の高等教育の修学支援制度は、次のようになっています。
文部科学省ホームページより抜粋
世帯収入や保有資産など条件に合えば、修学支援制度を利用して、進学することができます。給付奨学金の対象になると授業料の減免の対象にもなりますので、費用負担がネックになっていたご家庭のお子さまが大学などへ進学をあきらめなくても良いのです。
返済義務はありませんので、対象となる人は活用してください。ただし、きちんと学ぶ意欲のある学生であることは前提条件なので、しっかりと勉学に励んでください。成績も重要ですし、留年度はもってのほかです。
ライフプランにおける教育費
人生の3大資金として、教育費、住宅費、老後資金があります。最近では介護費用もありますので、実質4大資金と言えるかもしれません。
3大か4大かはともかく、人生において大きな資金が必要であることは間違いありません。子どもの教育費は、ひとり約1000万円を超えると言われています。一時金で必要ありませんが、大きな金額です。
子どもが3人いれば、3000万円以上必要となるので、家計に与える影響は大きいものになります。
教育費がライフプランの支出項目から消える!?
大学授業料無償化が実現すると、ライフプランで教育資金のためにお子さまが18歳までに、300万円は貯めておきましょうという会話が無くなります。学資保険も必要ないかもしれません。
今のところ、3人以上の子どもがいる家庭の3人目だけでなく、1人目、2人目も無償化になるようなので、大学進学費用としての準備は必要なくなります。
その分で、家族で仲良く海外旅行でも行きましょうか。大学授業料無償化で家族の会話や思い出が増えるかもしれません。家族の楽しい思い出はプライスレス・・・
ただし仕送りは必要です!
授業料は無償化されても、地方の学生が県外へ進学すると仕送りは必要になります。私は福井県在住ですが、子どもが東京の大学へ進学すると言えば、仕送りが必要になるでしょう。すべて、子どものバイト代で賄うことは難しいと思いますから。
授業料の負担がないと地方から都市部への進学が増加するかもしれません。進学の選択肢は広がりそうです。私立大学も選択しやすくなります。県外へ進学するなら国公立しか無理とか言わなくて良くなります。
大学へ自宅外通学になると、仕送りが必要となりますので、毎月の収入から仕送りすることが困難な場合は、やはり大学資金として準備が必要となります。ということは、学資保険は必要かも・・・
ライフプランへの影響は?
子ども1人でも無償化を
「子どもが欲しいけど、お金が心配・・・」と、考えるのは当然のことと思います。
ただ、それは、3人目の子どもを迷っているご家庭だけではないと思います。それ以前に、1人目をどうするかを悩んでいるかもしれません。もしくは2人目を迷っているかも。
ライフプラン相談で若いご夫婦の相談で多いのは、住宅購入と教育費です。そして、老後資金にも高い関心があります。ライフプラン相談をするぐらいなので、「私たちは家庭を築いていけるのか?」と真剣に心配し、準備したいと考えています。
教育費のウエイトは大きく、「子どもが1人でも心配」とか「2人目いける?」という会話も当然あります。
大学授業料無償化が幅広く実現すると、ライフプランへの影響は良い意味で大きくなります。
今の学生は?
2025年度から大学授業料無償化がスタートすれば、在学中で奨学金を借りている学生は大歓迎となります。2025年度からは奨学金が必要ないかもしれません。もしくは、借りる金額を減額できるようになります。
親のライフプランだけでなく、学生である子どものライフプランに大きくかかわります。大学を卒業したときに借金があるか無いか、しかも数百万円となるかもしれない借金があるかどうか。これは人生に大きな影響があります。
奨学金という名の借金の返済(日本学生支援機構は返還といいます)は長く続きますし、結婚したら夫婦2人とも奨学金を返済(返還)しているということもあります。
奨学金を返済中(返還中)の社会人は?
現在そしてこれからの学生向けの支援は理解できるとして、奨学金を返済(返還)している社会人はどうなるのか気になります。タイミングが悪かったね、仕方ないよ・・・で済ませるのか。
ライフプラン、家計において、奨学金の返済(返還)という支出項目が無くなると余裕が出ます。今まで返済(返還)で支払っていた金額を、生活を変えずにそのまま投資に回すということもアリだと考えます。むしろ、勧めます。借金の返済が無くなり、投資で資産を殖やす。
奨学金の返済(返還)免除が実現すると、マイナスを消す作業からプラスを作る作業になるので、ライフプランは大きく改善します。奨学金の返済(返還)免除は、期待したいところです。
まとめ
大学授業料無償化は大きなインパクトがある政策になります。政策について議論するつもりはありませんが、子どもが3人以上の多子世帯に限定せず、すべての学生の授業料無償化を実現してほしいと思います。ライフプラン的に。
少子化対策の一環であると思いますが、子どもが2人いるご家庭が3人目を希望するより、1人目、2人目を安心して出産、子育てできるようになる方が、子どもは増えていくのではと考えます。
全ての大学、学部での授業料無償化が難しいのであれば、せめて国公立大学の授業料を無償化、私立大学も相当額を無償化することで、子ども1人のご家庭も対象にしてほしいと思います。
そういう私の家庭は、子どもが3人います。2023年時点で、長男は社会人、次男が大学1年生、長女は中学3年生なので、次男の大学3年から、長女はまるまる無償化の対象です。2025年が待ち遠しい・・・
最後は少々個人的な感想になってしまいましたが、いずれにしても大学授業料無償化はライフプランの大幅改善となり大歓迎です。
Wrote this article この記事を書いた人
福田 智司
▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております