資産運用を始めるとき、損はしたくないと考えます。
資産運用相談において、投資に馴染みのない人は多くいらっしゃいますが、リスクを積極的に取ろうとする人が意外と多いと感じます。同業者と話をする中でも、そのような会話になることがあります。
さて、今回は資産運用において邪魔になる投資行動バイアスを解説することで、どのように資産運用に取り組むのが良いのかを解説していきたいと思います。
それでは、ゆっくりご覧ください。
資産運用とは?簡単におさらいします
資産運用の話をする際に出てくる言葉で、「投資」と「投機」があります。資産運用と、このふたつの違いはあるのか整理してみたいと思います。
資産運用
目標設定をし、いくつかの方法やステップで資産を殖やしたり、守ったりすること。ゴールベース・プランニングの考え方で取り組むことです。
長期的な視点に立つ行為となります。
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投資
企業が新規事業に資金を投じる、個人の場合は将来に向けて資産を殖やす目的で資金を投じることです。投資も長期的な視点に立つ行為となります。投資というと事件など悪い報道で出てくることがあるので、「投資=危ない」と思われる人もいるかもしれませんが、それは詐欺まがいの投資を謳うその人が悪いだけです。
投機
価格変動、相場によってタイミングを計り、安く買う・高く売るを繰り返します。そのタイミング、つまり機会に資金を投じるので、「投機」となります。投機は短期的な視点に立つ行為です。
取り組み方によりますが、FXにドはまりした知人が、ゆっくり寝れない・・・と言っていたことを思い出します。
投資行動のバイアスを6つ紹介
ここで、投資行動のバイアスを紹介します。行動経済学の分野です。人は非合理的な行動をとるようです。当然そっちが合理的だよねと理解していても、そうはならないということのようです。
投資行動バイアスは、いくつもありますが、今回はその中で6つ紹介したいと思います。
損失回避バイアス
人は利益が出るより損をする方が2倍、3倍悲しい・・・
人は損失を避けようとします。
例えば、株式投資で100万円を投資して20万円の利益が出ました。その時、明日下落したらどうしようと考えます。明日の損失を避けるために利益を確定したいと思い売却します。明日、もっと株価が上昇して利益が大きくなるかもしれませんが、早く利益を確定したいと考えてしまいます。
例えば、100万円を株式投資して20万円の損失が出ました。その時、損きり出来なくなります。損失を確定したくないし、株価が上昇するかもしれません。20万円の損失が出ても損きりして、80万円で別の株式投資をした方が良いかもしれませんね。
保守性バイアス
どの株式、どの投資信託に投資をしようか検討します。そして、条件を比較検討した結果、値上がりが期待できる予想をした金融商品を購入すると決めます。いざ、購入しようと思ったときに、新しい情報が飛び込んできて、その予想が成り立たない状況になったとします。それでも、その予想に固執してしまい変更できないことを、保守性バイアスと言います。
陥らないようにするには、自分を客観的に見ることです。熱くなっているときこそ、俯瞰で見たいですね。
フレーミングバイアス
前述の損失回避にもつながるバイアスです。
価格などを提示する方法で見え方が変わりますし、見せ方・見え方で印象が変わるというバイアスです
例えば
90%の確率で手術が成功する
10%の確率で手術は失敗する
90%成功と伝えられたグループは80%以上の患者さんが手術を選択します。10%失敗と伝えられたグループは50%の患者さんが手術を選択したという実験データもあります。確率はどちらも同じですが、このような結果になるようです。
つまり、リスクをどうとらえるかとかかわってきます。
再現性バイアス
世界の人口が増加し、どの時代にも企業が活動し続ける状況であれば、世界の経済成長はずっと停滞するということは無いです。突然、世界の人口が半分になるとか、世界の企業が何らかの事情で半分になってしまうようなことがあったら別ですが。
世界の経済成長は、〇〇ショックのように下落しても再現性があると言えます。
その前提があったとしても、トレンドを追いかけすぎて出遅れる状態があります。
価格上昇のタイミングで投資⇒高値で購入
価格下落で損きり⇒損失の確定
価格上昇に転換して再エントリー⇒結果的に利益が取れない
何事にもとらわれ過ぎてはいけません。
アンカリング効果
具体的な数字を提示されて投資行動に影響することがあります。セールスにもよく使われます。
小売店のよくある例として、
スーツ5万円
スーツ5万円(通常価格10万円)
このように価格表示されたスーツがあったら、どちらを購入しますか?どちらにしても5万円のスーツなのですが、10万円⇒5万円となっている方がお得に見えます。こちらの表示のスーツを購入する人が多いのではないでしょうか?
投資の場面で例を出してみます。
とある企業の株式が現在1000円だとします。その企業は、いつも気にしている企業で3年前は3000円の株価だったことを知っています。そうなると、3000円の株式が1000円で安売りしているように見えて、現在の業績やこれからの見込みがどうでもよくなって購入してしまう人もいます。
後知恵バイアス
結果が出た時に、結果が出る前から予測可能であったかのように認識する傾向です。
「そうなると思ってた」ということです。
投資の場面で、投資しようと思っていた金融商品が爆上がりした時に、あたかも自分の予想が当たったと思い込みます。「上がると思ってた」と自分の予想を過信してしまいます。
価格が上がったことを予想できたと過信し、リスクを取り過ぎる
価格が下がったことを予想できたと過信し、リスクを避けすぎる
どちらも、あまりよくなさそうですね。
お勧めの資産運用はあるのか?
6つの投資行動バイアスを見てきました。
「そういうこともあるよね」と想像できることが多かったと思います。
どのバイアスも、「一時金での投資」で影響が大きくなると思いませんか?
つまり、投資行動バイアスを回避して、資産運用に取り組むのに最適なのは、「長期」「積立」の投資です。
バイアスに振り回されないところで、長期・積立の資産運用に取り組みましょう。おそらく、この一択です。
iDeCo・つみたてNISAの制度の活用は必須です。どちらも投資金額の上限はあるので、超える場合は特定口座での資産運用となります。
まとめ
投資行動バイアスは、ある意味避けられないといってもいいかもしれません。その状況になれば、陥ってしまうものだと認識しておいた方が良さそうですね。
人の行動は非合理的です。合理的、スマートにいかないものです。
自分で客観的に見るか、私のようなファイナンシャル・プランナーが第三者で相談できるようにするか、どちらかできると投資行動バイアスは回避できそうです。
Wrote this article この記事を書いた人
福田 智司
▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております