就職や転職を考えるとき、希望する業種を選択することがあると思います。なりたい職業、入社したい会社など、それぞれあると思います。
別の視点で、給与が高いか低いかという判断もあると思います。どの企業に就職したとしても配属によって希望する部署になるとも限りません。そういうことも含めて企業に勤務することは収入を得るためだと割り切る人もいるかもしれませんね。
これから、お子さまが就職するとなれば親としても気になるところです。娘が彼氏を連れてきて結婚を考えていると言われれば、どんな仕事をしているのか当然気になります。
そこで、今回は厚生労働省の資料から、業種別平均年収を見ていきます。
平均年収の調査とは?
厚生労働省に政策統括官付参事官付賃金福祉統計室という部署があります。
そこで、賃金構造基本統計えお作成するために、全国を対象に調査をしています。
今回は、令和3年1月~令和3年12月の1年間について、令和4年7月に調査をしたデータとなっています。
調査対象は無作為に選ばれた78,589事業所で、有効回答は55,427事業所でした。そのうち、従業員数10名以上の48,371事業所の集計データとなっております。郵送とオンラインのハイブリッド調査だったみたい。
労働者とは?就業形態とは?など、多くの決め事はあるのですが、ここでの解説は割愛します。
このような調査で、【令和4年賃金構造基本統計調査の概況】というデータがまとまりましたので、その集計結果の一部を取り上げてみます。
平均年収を確認してみる
令和4年賃金構造基本統計調査の概況に、「産業、性、年齢階級別賃金及び対前年増減率」という項目があります。
まずは、一覧で確認しましょう。
全年齢、男女合計の平均年収で、高い順に並べています。
業種 | 平均年収 |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 482万4000 |
学術研究・専門技術サービス業 | 462万6000 |
情報通信業 | 454万5600 |
教育・学習支援業 | 453万2400 |
金融業・保険業 | 448万8000 |
鉱業・採石・砂利採取業 | 416万8800 |
不動産業・物品賃貸業 | 407万4000 |
建設業 | 402万4800 |
卸売業・小売業 | 377万5200 |
製造業 | 361万8000 |
複合サービス事業 | 358万5600 |
医療・福祉 | 356万0400 |
運輸・郵便業 | 342万4800 |
生活関連サービス業・娯楽業 | 325万9200 |
サービス業(他に分類されないもの) | 322万0800 |
宿泊業・飲食サービス業 | 308万8800 |
データとしては、月額の賃金で集計されていますので、12ヵ月(12倍)で算出しています。
ここでは、全年齢のデータを使っており、その場合の並び順です。データを見ていくと、年代によっては平均年収は前後します。40代、50代といった、
世帯の支出が大きくなる年代では、電気・ガス・熱供給・水道業についで2番手に金融・保険業となります。
性別で違いはあるか
ここから、男女別の平均年収を見てみます。
まずは、男性から。
業種 | 平均年収 |
金融業・保険業 | 576万7200 |
教育・学習支援業 | 523万9200 |
学術研究・専門技術サービス業 | 499万4400 |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 496万4400 |
情報通信業 | 482万6400 |
不動産業・物品賃貸業 | 453万6000 |
医療・福祉 | 429万8400 |
鉱業・採石・砂利採取業 | 429万4800 |
卸売業・小売業 | 421万2000 |
建設業 | 420万3600 |
製造業 | 391万5600 |
複合サービス事業 | 390万3600 |
生活関連サービス業・娯楽業 | 365万7600 |
運輸・郵便業 | 351万7200 |
宿泊業・飲食サービス業 | 349万6800 |
サービス業(他に分類されないもの) | 342万4800 |
並び順は変わりましたが、上位5つはそのままでした。金融・保険は強いなという感じです。役職に就くことも影響ありますよね。
さて、次は女性です
業種 | 平均年収 |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 391万8000 |
教育・学習支援業 | 379万8000 |
情報通信業 | 377万4000 |
学術研究・専門技術サービス業 | 374万7600 |
金融業・保険業 | 345万3600 |
鉱業・採石・砂利採取業 | 332万2800 |
医療・福祉 | 326万0400 |
不動産業・物品賃貸業 | 319万9200 |
建設業 | 301万2000 |
卸売業・小売業 | 295万6800 |
複合サービス事業 | 292万3200 |
運輸・郵便業 | 288万3600 |
サービス業(他に分類されないもの) | 284万8800 |
生活関連サービス業・娯楽業 | 278万1600 |
製造業 | 275万1600 |
宿泊業・飲食サービス業 | 259万3200 |
こちらも、並び順は変わりましたが、上位5つは同じでした。
男女の性別での違い
これまでのデータから、性別での平均年収の違いを見てみたいと思います。
男性の平均年収に対する、女性の平均年収の割合です。数字が大きいと男女差が小さいということになります。
業種 | 割合 |
サービス業(他に分類されないもの) | 83.2 |
運輸・郵便業 | 82 |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 78.9 |
情報通信業 | 78.2 |
鉱業・採石・砂利採取業 | 77.4 |
生活関連サービス業・娯楽業 | 76 |
医療・福祉 | 75.9 |
学術研究・専門技術サービス業 | 75 |
複合サービス事業 | 74.9 |
宿泊業・飲食サービス業 | 74.2 |
教育・学習支援業 | 72.5 |
建設業 | 71.7 |
不動産業・物品賃貸業 | 70.5 |
製造業 | 70.3 |
卸売業・小売業 | 70.2 |
金融業・保険業 | 59.9 |
このように見ると、様子が変わりますね。違いが小さいから女性にとって良い業種なのかは考えるところがあります。
電気・ガス・熱供給・水道業というインフラ事業、情報通信業も含めた生活基盤になる事業はやはり強いということになりますね。男女差も小さく、平均年収も高い業種です。
まとめ
いかがでしたか?平均年収を見ていきました。
今回使用した厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査の概況には、他の視点のデータもあります。興味深い集計結果もあるので、いろいろとご確認してみてください。学歴での違いも集計されています。
男女の差も確認しましたが、あくまで平均年収の違いがあるということです。ここでジェンダー論を語ることはありませんので、ご了承ください。
ただ、性別での平均年収の差は、働き方の違いもあると思いますが、役職者の性別差もあるとしたら、寂しいなと思います。個人の能力で判断されると健全だと感じます。
就職や転職を考えるときに、福利厚生や休日も重要ポイントですが、平均年収もマジで重要。優先順位は人それぞれですから、平均年収は参考という程度にしてください。
Wrote this article この記事を書いた人
福田 智司
▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております